2021/12/02更新
株式会社SOZO FACTORYは「お客様の夢を叶える」ために大切にしているのが、「人と人」のつながり。
それは社内も同様で、個性と熱意にあふれたリノベ屋たちの集まりです。
そんなリノベ屋たちの素顔をご紹介します。まずは創業者の代表・永吉一成のインタビューをお届けします。
あえて不器用な世界に身を置きたい
ーー永吉代表は現在でも、物件をてがけられることもあるのですか?
はい、もちろん! 会社経営だけに携わっているわけではなく、今でも個別に物件を担当して、お客さまと話し、図面を引き、現場に通っていますよ。朝、出社しても、ふつうにそうじから始めます。
自分は株式会社SOZO FACTORYのプロデューサーであり、リノベ屋という職人なんです。プランをつくるデザイナーだとか、現場で腕をふるう職人というヒエラルキーはない。
あくまで「リノベーション」という、お客さまに喜んでもらうための、ものづくりに携わるメンバーの一人という意識なんですね。この世界に入って20年近くになりますが、「このプランでお客さまは喜んでくれるだろうか?」といまだにドキドキしていますね(笑)。
プロデューサーという意識は、リノベ屋という職業をよりクリエイティブなものに位置付けたい、面白い仕事をつくっていきたい、という想いがあるからです。
そのためにはある程度、不器用な世界に身を置いていたい、という思いがあります。
ーー不器用な世界!失礼ながら、会社としては器用な方向に舵取りしたほうが良いようにも思えますが・・・。
儲けようとすると、結局、不動産業になってしまうんですよね。「いかに安く物件を買って手を入れて高く売るか」という勝負に陥って、そのサイクルのなかでは住まい手の顔は見えてこない。
それに、つくっているわれわれ自身がなかなかワクワクできないんです。
なので、不器用なプロでいたいんです。プロとしての知識はあるけれども、コツコツ勉強をして、さらに成長していくような。
多少、手間や時間はかかっても、お客さまの頭のなかをじっくり紐解いて、いっしょにつくっていくほうが絶対に楽しいし、記憶に残るものができるという信念があるんです。
ーー記憶に残る住まい、素敵ですね。
その家で育ったお子さんが成長して家族をもったら、われわれと家づくりがしたい、と思ってくださるようなリノベーションが理想なんです。
友達の家に遊びに行った時「どうもウチはよそと違うな」って子供心に思ってもらえるのは、最高の褒め言葉ですね。当たり前のように暮らしてきたけれども、気づいてみたら、どうもわが家はほかとは違う。毎日、当たり前のように起きて食べて寝ていたところが実はクリエイティブな空間だった……と発見してもらえれば、リノベ屋冥利に尽きます。
住まい手の目線に立てるプロをめざして
ーー永吉代表がリノベーションの道に入ることになったきっかけは?
もともとは新築ビルやマンションの現場監督や施工管理をしていました。ハードだったけれども、ゼロからモノを創り上げるのは、とてもやりがいがありました。
ただその一方で、住む人や家そのものの顔が見えるのなら、もっと創意工夫が凝らせるのに……ともどかしい思いが募るばかりで。それで、お客さまと直接つながりたい、と独立することにしたんです。
ーー当時は新築信仰の強い時代だったと思います。なぜ、リノベーションだったのでしょう?
異業種の方たちと交流するなかで、「海外では新築よりも、100年200年経った建物をリフォームするほうが価値がある」といったことや、「良い場所(エリア)には良い建物(ストック)が建っている」、という話を聞き、リフォームに可能性を感じたのです。まだリノベーションという言葉もなかった時代のことでした。
ーー家づくりといえば新築が第一に選択肢だった頃に、既存の建物の価値を評価して活かす、ということに着目されたわけですね。
はい、ただいきなり創業したわけではなく、2年ほどリフォーム会社で修行をしました。
その時気付いたのは、自分の夢を叶えたいというお客さまの声が、やはり十分に汲み取られておらず、「リフォームだから仕方ない」がたくさんあるお家が出来上がる、ということでした。
結果として、業界の常識からすれば型破りなスタイルの会社になりましたが・・・。
業界の常識を打ち破るからこそ、叶えられるリノベがある
ーー型破りなスタイル、というのはどういったものでしょう?
リノベーションでは、不動産業者に依頼してリフォーム済みの物件を紹介してもらう、という方法が一つのスタンダードです。あるいは設計事務所に依頼して、施工は設計事務所経由で工務店に発注するやり方もあるでしょう。
そのいずれでもなく、設計事務所のデザイン力と工務店の現場での対応力を兼ね備えた「リノベ屋」というビジョンを実現したかったのです。
不動産業者が扱うリフォーム済み物件は、誰にでも受け入れられる必要があるため、個性に欠けます。つまり、住む人の顔を見ない、一見よく見えるようなリフォームをした物件なのです。
そうではなく、プランをつくる時も施工現場でも、そこに住む人の顔を見ながらつくり、効率一辺倒ではなく、時にはムダや余白を楽しむ・・・その人らしいエッセンスの宿るリノベを叶えたい、と思ったんですね。
ーーそのビジョンを実現するために、会社としてどのような体制をとっているのですか?
まず、いわゆる営業がいません。ハウスメーカーですと営業・設計・施工と分業体制になっていますが、うちは最初の打ち合わせから工事まで担当者が一貫してお客さまと並走します。女性スタッフも足繁く施工現場に通いますよ。
なので言葉巧みな営業トークには長けていません。というよりも、そこは重要視していないんですね。お客さまの顔を見て、耳を傾け、じっくりと要望を聞き取っていく。
工事の現場の実情まで知り尽くした人間が誠実に向き合えば、お客さまの叶えたいかたちが見えてくるんです。またお客さまのほうでも、だからこそ株式会社SOZO FACTORYとリノベーションがしたい、と理解を示してくださる。
ーー設計・施工を一貫して同じ担当者が手がけるメリットとは?
実際問題として、デザインはするけれどもかたちにする工事は工務店に丸投げ、というやり方をしていては、特にリノベーションでは良いものはできないと思います。実際に、ふらっと現場に行っても何も見えてきません。
中古マンションは現地調査はもちろん、解体して蓋を開けてみるまでわからないものです。そのリスクは経験値でカバーできるのですが、そのようなリスクを想定して設計に組み込み、限界まで精度を高めないと、お客さまの本当に叶えたいことは実現できないと考えています。
これはSOZOのスタッフだけでなく、チームを組んでいる職人グループも同様ですね。お客さまのためにここまでやりたい! というわれわれの気持ちを汲んで手を動かし汗を流す、長年にわたるコラボレーターたちに支えられています。
スタッフ一人ひとりが輝ける環境を
ーーそのようなクリエイティブなリノベをするために社内体制はどのようなものなでしょう?
「プラン会」なるものを開いてスタッフ同士でプランを講評しあったり、社内で「このデザインいいね!」など、全員でレベルアップできるような取り組みをしています。
リノベーションって真摯にやろうとすると、つくり手側からすると、やっぱり本当に大変な仕事なんです。
だからこそ、スタッフ個人に光があたってほしいし、皆が活躍できる環境をつくりたい。
女性デザイナーで施工現場にもスカートを履いていくスタッフがいるんです。
ぼくが現場監督をしていた時代は、スカートを履いた女性が現場にくるなんて信じられないことでした。そもそも女性が少なかったですしね。
けれども彼女はその服装が、自分に合っていて、自分らしさを出せるから、現場にも臆さずスカートで赴く。
昔気質の職人さんだったら、びっくりする人もいると思うんですよね。
けれどもぼくは、業界の風習に無理に自分を合わせるのではなく、「自分らしくいられる」という考えがカッコいいな、と思うんです。
それはリノベーションに通底するもので、「こうでなければいけない」ということがありすぎてはダメなんです。
決まり切ったかたちにはしたくない
ーーこれからの株式会社SOZO FACTORYのビジョンは?
例えるならば、白いキャンバスに、スタッフやお客さまをはじめ「個」の色が輝くような在りようでしょうか。できあがった、決まり切ったかたちにはなりたくないんです。
たとえばぼくがふつうと思っていることは、業界の常識からすればふつうでないかもしれない。けれどもふつうでないからやめよう、となっては、既定路線をなぞるだけで新しいものは生まれてこないでしょう。
また一方で、株式会社SOZO FACTORYで手がけるリノベを、永吉一成という一人の人間の色で染め上げたいわけでもないんです。
だからこそ白いキャンバスであり、そこにさまざまな彩りを添える「個」が大切なのですね。予定調和や常識にとらわれない輝きや、ちょっとした偶然が折り重なって、唯一無二のものが生まれるのです。